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ハグビーに関する取材や資料をご希望の際は、ATR石黒浩特別研究所 ( hil-contact@atr.jp ) までご連絡ください。

[ハグビー画像資料]
[ハグビー映像資料]
[特設ページ(京都西川)]

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、遠隔地にいる相手の存在を強く感じながら対話することができる存在感伝達メディア「ハグビー®」を開発しました。これまでに開発した「テレノイド®R1」(2010年8月報道発表)や「エルフォイド®P1」(2011年3月報道発表)の研究開発を通して、これらのロボットを抱きかかえたり、握ったりしながら対話することが、相手の存在感を強く感じる効果的な方法であることが分かってきました。「ハグビー」は単純な形でありながらも相手の存在をより強く感じることのできる画期的な通信用メディアです。

通信メディアの研究開発の進歩に伴って、遠隔操作ロボットを通信メディアとして用いることで、遠隔地に話者の存在感を伝えることができるメディアが登場してきました。メディアに人型等の実体を持たせることによって、遠隔地にいる相手が目の前に存在するかのように対話できる新たな通信様式が誕生しています。ATR石黒浩特別研究室においても、人間の存在を伝達する新たな情報通信メディアを実現するために、人間としての必要最低限の見かけと動きの要素だけからなる人間のミニマルデザインに基づく遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」、「エルフォイド」を開発してきました。これらの研究開発において、アンドロイドを抱きかかえたり、握ったりしながら対話することによって聴覚だけでなく触覚も通して相手の情報を得ることが、相手の存在感を強く感じる効果的な方法であることが分かってきました。この効果に着目すれば、単純なデバイスで強い存在感を感じさせることができます。

今回開発したハグビーは、抱きかかえた状態で対話する抱き枕型の通信メディアです。本体はビーズクッションで、その形はテレノイドやエルフォイドと同様に人の存在感を効果的に伝える形状です。これを抱きかかえた状態で、頭部のポケットに挿入した携帯電話を通して遠隔地の人と対話します。さらに内部にバイブレータを備えており、生物らしさや人の感情等を効果的に伝えることができる鼓動を再現した振動を発生します。そして相手の声と同調して変化する鼓動の振動が、声による存在感を増強します(例えば相手の声の大きさに同調して鼓動の振動が強くなると、相手の気分の高まりが声と振動で伝わり、より相手を身近に感じます)。ビーズクッションの心地よい感触、相手を抱きしめている感覚、抱きかかえた状態で耳元から聞こえてくる相手の声、その声に同調して伝わる鼓動を再現した振動によって、相手の存在を強く感じることができ、また相手への親近感が強まります。声と振動のみの情報伝達でありながら、人らしい存在感を伝達するための必要最小限の要素を具現化した画期的な通信用メディアです。

ハグビーは普段使用している携帯電話さえあれば、誰でも簡単に相手の存在を感じながら対話することができる効果的な存在感伝達メディアです。親しい関係の者同士、例えば、親子、祖父母と孫、夫婦、恋人同士、友人同士などの間での対話において効果的です。ハグビーを用いた対話で、より親近感を増すことができると期待されます。またコミュニケーション機会が乏しい人に対して、コミュニケーションの動機やコミュニケーションの機会の増加をもたらすと期待されます。

ハグビー(Hugvie)の名前は、Hug(英語で「抱く」の意味)+vie(フランス語で「Life」の意味)の造語で、「命を抱く」という意味を持っています。まさに相手を抱きしめているという感覚をもたらすメディアです。

今後、存在感を伝えるのにより効果的なバイブレーションについて研究開発を進めます。さらに触覚センサ等を用いて話者の状態を計測し、音声がなくともバイブレーション等で存在感を伝えるメディアへと発展させ、存在感伝達の究極形の実現を目指します。

ハグビーの主な特徴は以下の通りです。

ハードウェア仕様

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※ハグビーの開発は、JST 戦略的創造推進事業(CREST)「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」採択課題
「人の存在を伝達する携帯型遠隔操作アンドロイドの研究開発」(研究代表者 石黒浩 ATRフェロー(大阪大学教授))
の一環として行われたものです。
※テレノイド、エルフォイド、ハグビーは(株)国際電気通信基礎技術研究所の登録商標です。
Contact: hil-contact@atr.jp