携帯型遠隔操作アンドロイド
ジェミノイドの研究を通して,ジェミノイドを遠隔操作する操作者とジェミノイドと対面する対話者の双方が,ジェミノイドを操作者本人と感じることができるようになることが分かってきました.またこの効果はジェミノイドのモデル以外の者が操作しても生じます.そこで本研究では,人間の存在感を伝達する本質的な要因を明らかにするために,人間としての必要最低限の見かけと動きの要素だけからなるジェミノイドのミニマルデザインを持つ携帯型遠隔操作型アンドロイド(ジェミノイド携帯)を実現します.
ジェミノイド携帯には2つのタイプがあります.1つは全長70cm程度で複数のアクチュエータやセンサを有する「テレノイド」,もう1つは全長20cm程度で携帯電話機能を有する「エルフォイド」です.ジェミノイド携帯の開発ではユーザ認識機能の開発を行います.遠隔操作においては,話者の発話や唇の動きや頭の動き,さらには表情等を伝えることが重要です.ジェミノイドに搭載されたカメラを用いて話者の動きを認識するためには,カメラを使う環境が固定されていないために,特に照明の変化に強い認識アルゴリズムを考案する必要があります.また人々のジェミノイド携帯への適応性を明らかにする必要があります.ジェミノイドの遠隔操作システムでは,操作者は相手の顔を見ながら対話しますが,ジェミノイド携帯では相手の映像は表示されないため,従来のジェミノイドの遠隔操作とはかなり異なった操作感になります.そこでジェミノイド携帯を用いた遠隔対話実験を通して,ジェミノイド携帯へより適応しやすくなる利用場面や対話様式を明らかにします.