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ジェミノイドによる研究

実験室実験

ジェミノイドが人にどのような影響を与えるかに関して,様々な実験室実験を実施しています.その一つにジェミノイドを操作している際に,あたかも自分がジェミノイドになった気分になる,という現象があります.例えば,ATRのスタッフがジェミノイドを操作している際に,誰かにジェミノイドを触られると,まるで自分が触れれている気分がする,という感想を持つ事が多数報告されていました.そこで被験者にジェミノイドを操作してもらい,十分に操作に適応してもらった後,ジェミノイドの手に注射針を刺すと,操作者である被験者はどのように感じるか,という実験を行いました.

その結果,あたかも自分自身が針で刺された気がしたという主観的な感覚,発汗といった生理的な反応が,操作者である被験者に見られることが明らかになりました.この研究結果は,ジェミノイドが人に強い影響を与えるというだけではなく,従来までも言及されていたRubber Hand Illusionという研究の新しいパラダイムを提示できるという意味でも注目されています.

その他にも,ジェミノイドを使った主観的な体性感覚マップの作成や,ジェミノイドの表情の変化に,操作者がどのように反応するか,といった様々な研究を進めています.

フィールド実験

実験室における認知科学的な実験だけではなく,実世界にジェミノイドを設置し,一般の人の反応を見る,といったフィールド実験も実施しています.ロボットやアンドロイドに馴染みのない海外のカフェにジェミノイド HI-2を自然な状態で一ヶ月設置し,来場者がどのような反応をするかを観察しました.この実験では,カフェに設置したジェミノイド HI-2を石黒室長が実際に毎日日本から遠隔操作し,カフェに詰めていた研究員とミーティングをする,という”近未来”の位置風景を作り出しました.

その結果,多くの来場者はその存在に気づくことなく,通り過ぎていくことがわかりました.また,石黒室長は遠隔で来場者と話をすることで友達ができたとも報告しています.この実験により,ジェミノイドが次の時代の遠隔存在感メディアになり得る可能性が示唆されました.