携帯型アンドロイドを用いた実証実験

本研究室で開発したジェミノイド携帯は，話者がジェミノイド携帯に乗り移り，その場に存在することができるという全く新しい情報伝達手段を提供するものとなっています．この新しいメディアの利用方法は様々に考えられます．直接的な利用方法として，離れて暮らす者同士を親密に結びつけることが挙げられます．電話では伝わらない本人の存在を感じながら対話できるため，電話を越えた通信手段となります．たとえば一人暮らしの高齢者が利用すれば，離れて暮らす子供や孫と何時でも親密に対話でき，生活に安心感を持つことができると期待されます．またカウンセリングであれば，一人のカウンセリングの専門家が場所を移動することなく，遠隔操作アンドロイドを持つ患者をカウンセリングすることができます．

本研究では，ジェミノイド携帯を大学や街に広く配布し，可能な限り規模が大きく長時間にわたる実証実験を行うことによって，実社会における利用方法を確認するとともに，新しい情報通信メディアによって，人間関係がどのように変化するかを観察します．具体的な利用方法として，高齢者の遠隔介護や心理的な障害を持つ患者への遠隔メンタルケアの可能性を探ります．そのために高齢者施設と協力して，ジェミノイド携帯による高齢者と介護者の遠隔対話実験や，大学病院と協力して，災害等で重い心理的負担を抱えている人々とカウンセラーの遠隔対話実験を行います．